金融庁報告書がテレビ等
100年安心年金プランは一体なんだったのか...
老後生活は本当に大変なのか...
話題はこの二つに集中しているようです。
この騒動を受けて、安倍政権や自民党幹部らが「誤解を与える」「
そして衆議院財務金融委員会において、金融庁の三井秀範
政府が言う「誤解」とはいったどのようなことなのでしょう。この
そして一連の行為において、金融庁は謝罪すべきことなのでしょう
☆金融庁報告書の解釈「年金制度は危ない、だから運用しよう..
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6月3日付けの報告書は、金融庁ホームページで見ることができま
目次を見ますと、報告書は要約すると
現状分析 → 考察 → 対策
という構成になっていて、最期の「対策」の部分をそのまま載せま
3、考えられる対応
(1)個々ひとにとっての試算の形成・管理での心構え
(2)金融サービスのあり方
(3)環境整備
ア,資産形成・資産承継制度の充実
イ,金融リテラシーの向上
ウ,アドバイザーの充実
エ,高齢顧客保護のあり方
とあります。これを高橋洋一嘉悦大学教授は「金融商品販売パンフ
この報告書を作成した金融審議会ワーキンググループ・メンバーの
みずほや野村のシンクタンクの人などになっています。
この観点から報告書を見るとすると
年金だけでは老後資金は足らないから、いまから運用しよう...
という誘導が透けて見えてきます。
☆金融庁報告書の解釈「年金制度は危ない、だから増税は仕方が無
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金融庁報告書を、見る立場によって異なるという観点で、次のよう
それは金融庁が財務省管轄にあり、金融庁の役人は財務省から来て
具体的には、消費税率引上げを正当化しようという思惑があるので
なぜこの時期にこのような報告書が発表されたのかという疑問に対
世間では、秋の消費税率引上げはまた延期されるのではないかとい
社会保障制度維持には増税やむなしという意識を持ってもらいたい
年金制度は危ない、だから増税は受け入れよう...
という感じですかね。
☆金融庁報告書の対策方針には異論がないはずの政権側
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ここまで、金融庁報告書が示す「対策」に関しての二つの見方をご
いずれも現政権を援護するものとなっていて、おそらくこの両方の
「100年安心」年金プランを策定した小泉政権下では、同時に「
当時から年金だけに老後生活の原資を依存するのではなく、自助努
小泉・竹中ラインは一貫して「自己責任」を強調していましたので
今思えば、「100年安心」というキャッチフレーズに、私たちが
日本人は「自助」に慣れていないし、「自己責任」概念に弱いです
ただ、金融庁(その背後の財務省)や政府にとって意外だったのは
野党による「100年安心」年金プランへの攻撃もあり、国民の不
☆金融庁報告書の「現状分析」に噛み付いた政権側
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年金制度の将来が危ないから自分達で2000万円を準備しなけれ
金融庁報告書がこのように解釈されているようです。小泉政権下で
国民は、頭では年金制度の未来は暗いと分かっていながら、どこか
もともと根拠がない年金制度への安心感が、はっきりと目の前で「
それでも「自助」に舵を切ることなく、自分達で資産形成をする行
政府の「大丈夫」メッセージが
金融庁が勝手にやったこと
金融担当大臣(麻生太郎財務大臣兼務)はあずかり知らないこと
として、金融庁報告書を「なかったもの」としようとしているよう
これが政権や自民党幹部の「誤解を与える」「国民に不安を抱かせ
でも本音は二階自民幹事長の
(金融庁は)候補者に迷惑をかけた...
に表れています。全ては参議院選挙が大事、「国民に」ではなく「
さてここでは、その「無かったもの」としようとしているものを、
何を無かったものにしたかったのかを探ることで、金融庁報告書の
☆書き換えられた金融庁報告書の「変更・削除部分」に真実が..
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金融庁報告書には「案」というものがあります。5月22日に出さ
その後6月3日に正式に発表されたようで、金融庁ホームページに
この10日間の間に、内容が変更削除された部分があります。
わたしも最初に目にしたものが5月22日分の「案」のほうで、そ
内容が変更されていたのですね。
金融庁ホームページ掲載の報告書をもとに、「案」から変更された
○一つ目は
目次 1,現状整理(高齢化社会を取り巻く環境変化)
(2)収入・支出の状況
ウ,退職金給付の状況 P.13
6月3日の報告書には
わが国に根付いてきた賃金制度として、退職給付制度がある。かつ
とあり、この「公的年金とともに老後生活を支えてきた退職金給付
わが国に根付いてきた賃金制度として、退職給付制度がある。かつ
~ここまでは同じ、以下が変更前の文章です~
しかし、長寿化による影響はもちろんのこと、公的年金の水準が当
はっきりと「かつてのモデルは成り立たなくなってきている」と述
○次に二つ目は
目次 2,基本的な視点及び考え方
にある4つの見出しは、全て表現が変わっています。
6月3日のものは
(1)長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要 ...................... 21
(2)ライフスタイル等の多様化により個々人のニーズは様々 ............ 23
(3)公的年金の受給に加えた生活水準を上げるための行動 .............. 24
(4)認知・判断能力の低下は誰にでも起こりうる ...................... 24
5月22日(案)のものは
( 1 ) 資産寿命の延伸・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 1
( 2 ) 個々人のニーズの多様化・・・・・・・・・・・・・・・2 3
( 3 ) 自助の充実の必要性・・・・・・・・・・・・・・・・・2 4
( 4 ) 認知・判断能力の低下・・・・・・・・・・・・・・・・2 4
それはともかく、ここで指摘するのは P.24 で
(3)公的年金の受給に加えた生活水準を上げるための行動
の項目が、5月22日(案)では、目次では
( 3 ) 自助の充実の必要性
とし、本文ではこの部分の項目見出しが
(3)公的年金だけでは望む生活水準に届かないリスク
となっていました。この項目が
(3)公的年金の受給に加えた生活水準を上げるための行動
に変わっているのです。直接的表現が避けられていますね。
またその項目の説明文に、6月3日分には「マクロ経済スライド」
6月3日分と5月22日(案)で変わった部分を掲載します。前段
公的年金制度が多くの人にとって老後の収入の柱であり続けること
て自分自身の状況を「見える化」して、自らの望む生活水準に照ら
公的年金制度が多くの人にとって老後の収入の柱であり続けること
テレビ等のコメンテーター発言で政権擁護と見られる立場の人は、
また国会答弁で安倍総理が、「100年安心」年金プランは破綻し
そのあたりを5月22日(案)では、「年金の給付水準が今までと
このことに関して金融庁は「客観的に修正することが望ましいとい
確かに年金制度そのものを作るのは厚生労働省であり、金融庁は資
金融庁は「貯蓄から投資へ」の旗振り役ですから、金利低下で困窮
もう一つは財務省の立場から、消費税率引き上げの正当性を後押し
「2000万円資産形成」という具体的な数字に多くの国民が強く
なり神経質になったのでしょう。
二階自民党幹事長の「候補者に迷惑」発言も、思わず出てしまった
☆政府機関が発表する「2000万円」という数字に重みが...
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政治評論家の伊藤惇夫氏は
民間機関では以前から「年金だけでは老後生活は足りない」と言っ
と発言しています。
金融機関によってはまちまちですが、必要老後資金を「3000万
その根拠となるデータは厚生労働省発表のものです、しかも報告書
金融庁金融審議会の報告書に関し、麻生太郎金融担当相は11日の
残ります。
金融審議会は報告書提出までに12回も協議をして、報告書を提出
安倍総理を含め、政権側が報告書に関して関与していないことは考
果たして金融庁が謝る話しだったのでしょうか。
政治評論家の伊藤惇夫氏は、金融庁の謝罪も含め、政権や自民党に
今後政府に都合が悪いデータは出なくなるかも...
と危惧していると発言しています。
☆ちなみに「マクロ経済スライド」とは
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厚生労働省のホームページに「マクロ経済スライド」の解説が載っ
マクロ経済スライドとは、そのときの社会情勢(現役人口の減少や
平成16年(2004年)に改正する前の制度では、将来の保険料
ありました。
そこで、平成16年の制度改正では、将来の現役世代の保険料負担
そして、この収入の範囲内で給付を行うため、「社会全体の公的年
以上が厚生労働省「いっしょに検証!公的年金」というサイトに書
これがあるから年金制度は安泰だ、年金制度はなくならないと安倍
実は、わたしも大きな勘違いをしていました。
「100年安心」とは、国民が年金を100年間もらえるというの
厚生労働省HPにもあるように、保険料は上がり続けることを決め
これを双日総合研究所の吉崎達彦氏がうまく表現しています。
年金制度という「船」は100年間沈まないようにしたのが「10
つまりどんなことがあっても「年金制度」という船は沈まない、だ
よっては船から降りてもらうことだってある、客室クラス変更をお
船は安心、乗っている人のことは知らないよ...
これが「100年安心」の年金「制度」です。
政府にとって「安心」だったのか、大きな勘違いをしていました。
そして、国民・厚生年金は「保険」であり、正しくは国民年金保険
2004年「100年安心」年金プラン策定に財務官僚としてかか
平均寿命よりも早く死んだ人のとり分を、
平均寿命よりも長生きした人のまわす制度
と称していました。
若者が払う保険料が高齢者の給付金の原資となる、まさに保険制度
保険料を払った分だけ将来は年金としてもらえるという考えは間違
だって法律で、年金制度は「国民の共同連帯」とうたっていますか
いまや若者は、就職企業を選ぶのに「社会保障の充実」は選択理由
☆最期のまとめ
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いろんな報道機関が報じている内容を総合すると...
令和元年(2019年)5月22日に開催された「金融審議会『市
そこには、働き盛りの現役期、定年退職前後、高齢期の3つの時期
報告書(案)では、「公的年金の水準については、中長期的に実質
さらに、具体的な内容にも触れ、年金だけが収入の無職高齢夫婦(
その上で、現役期は「少額からでも資産形成の行動を起こす時期」
具体的な方法としては、「つみたてNISA」や、個人型の確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」などがあげられて
資産運用に誘導することはともかくとして、今回の金融庁報告書は
金融庁は、私たちの将来を心配して、嫌われるのを覚悟で、このよ
☆追記:「平均値」と「中央値」について
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2018年11月9日付で公表されている金融広報中央委員会「知
平均値は 1,151 万円
中央値は、450 万円
と公表しています。 調査期間:2018年6月15日(金)~7月24日(火)
「平均値」と「中央値」に関しては、この調査報告書に解説がある
金融資産保有額の平均値は 1,151 万円となるが、金融資産保有額が 1,151 万円を超えているのは2世帯だけなので、ほかの7世帯は「自分はそん
多くの世帯が実感とかけ離れた印象をもつのである。
このような平均値の持つ欠点を補うために、ここでは平均値と並ん
(2018年調査では 450万円)である世帯からみると、保有世帯のちょうど半分の世帯が自分の金融資産保有額よりも多くの金融資産を保有し、ちょ
では、金融資産保有額の中央値は 450 万円となっている。
老後資金として2000万円必要と言われて、多くの人たちが驚き
☆おまけ~財務検証公表遅れる
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政府は年金関連の検証を、金融庁報告書ではなく、公的年金制度の
財政検証は、公的年金の「定期健診」のようなもので、将来の人口
2004年の年金制度改正で、年金の給付水準は現役世代の手取り
ねぇ、年金制度という船は沈まないでしょう。保険料という収入は
今回の財政検証の結果次第で、給付水準が現行の見通しよりも下が
給付額が下がる...やはり年金制度という船は大丈夫のようです
財政検証は2009、2014年に行われ、今回が三度目、今回は
すごく気になる、われわれ国民としても是非見て見たい財政検証結
2009年は専門委員会最終報告が2008年11月11日で公表
公表の遅れは以前にもあり、2016年、年金積立金管理運用独立
そうです、参議院選挙があったので選挙後に公表をずらしたのです
なんか公表結果、ちょっと厳しい内容になっているのかもしれませ
いずれにしても参議院選挙前には、どうやら私たちは見ることがで