いま足元でなにが起こっているのか...

物事を客観的に捉え、何をしなければならないかを冷静に考えるヒントをピックップします。主観は排除し、過去の常識にとらわれず、「Opinion」ではなく「Fact」を伝えることをモットーとしています。転ばぬ先の杖...それがこの“Sheel Report ”です。

米国のトランプ大統領はロシア連邦に対し条約破棄を通告

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INF条約失効

米国、ロシア、中国の間で、軍事力を競い合う動きが強まっています...

かつて軍事大国の地位を競い合っていた米国とソ連は、1987年12月8日に当時の米国のロナルド・レーガン大統領とソビエト連邦のミハイル・ゴルバチョフ共産党書記長によって、ワシントンD.C.において中距離核戦力全廃条約(INF)が調印されました。

 中距離核戦力として定義された中射程の弾道ミサイル、巡航ミサイルを全て廃棄することを目的としたものです。

   INF:Intermediate-range Nuclear Forces

条約の正式名称は「中射程、及び短射程ミサイルを廃棄するアメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦の間の条約」であることから条約名の邦訳を「中距離ミサイル全廃条約」とする文章もあります。

この条約では射程が500kmから5500kmまでの範囲の核弾頭、及び通常弾頭を搭載した地上発射型の弾道ミサイル巡航ミサイルの廃棄を求めています。

 条約が定める期限である1991年6月1日までに合計で2,692基の兵器が破壊されました。内訳はアメリカ合衆国が846基、ソビエト連邦が1,846基となっています。

当時、米ソ合わせて約6万8000発の核兵器保有していました

またこの条約の下では両方の国家は、互いの軍隊の装備を査察することを許されています。

この条約を、米国のトランプ大統領は2019年2月1日、ロシア連邦に対し条約破棄を通告したのです。

これを受けてロシア連邦も条約義務履行の停止を宣言、半年後の8月2日に失効しました。

トランプ大統領がINF条約を破棄した口実として

ロシアがINF条約に違反している疑いの濃い9M729(SSC-8)地上発射型巡航ミサイルを廃棄しない
ことをあげています。

   米国ならびに米国同盟国や友好国に直接的な脅威となる

として米国国防総省は、ロシアに対抗するために、INF条約で開発・製造・保有が禁止されていた各種ミサイルの開発・製造を開始すると発表しました。

マーク・エスパー国防長官は8月3日、非核弾頭を搭載した、INF条約で開発・製造・保有が禁止されていた各種ミサイルを、可及的速やかにアジア太平洋地域に配備する意向を表明しました。

6月18日、米国はカリフォルニアのサンニコラス島で、地上発射型中距離巡航ミサイル発射実験を行いました。

8月22日、国連安全理事会緊急会合で米国とロシアは非難の応酬となりました。

8月23日、ロシアのプーチン大統領は、米国ミサイルの脅威のレベルを分析して、同様の対抗措置を取るよう命じたとされています。

8月24日、北極海に近いバレンツ海で、潜水艦発射弾道ミサイルの発射実験を行ったとロシア国防省は発表しました。

かつてのように、米国とロシアは軍拡競争に突入していくのでしょうか。


   冷戦ふたたび...

22日の国連安全保障理事会緊急会合では、中国の動きも牽制されています。

中国は、INF条約で開発・製造・保有が禁止されているミサイル約2000発のミサイルを保有していると、米コーエン国連大使代行は述べています。

「グアムキラー」と呼ばれるこれら中距離ミサイルを、中国はINF条約に縛られることなく開発し続けていることに、トランプ大統領は怒りを覚えているようで、これがIMF条約破棄のきっかけの一つだと説明してます。

ロシアや中国の動きを見てトランプ大統領

   なぜ米国だけINFを守らなければならないのか...

と述べています。当然中国側は、

   米ロ関係に中国の問題は関係ない、単なる言い訳だ

と米国の説明を非難しています。

かつての冷戦時代の当事者は米国とソ連の二国間の話でしたが、いまは中国をも含む三カ国での軍拡競争の構図となっています。

さらに中距離ミサイルや核ミサイルだけでなく、いまの軍拡競争にはAI兵器という新たなものが加わっているのです...