米連邦取引委員会(FTC)は9日、米フェイスブックを反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いで提訴したと発表しました。
画像共有アプリ「インスタグラム」や対話アプリ「ワッツアップ」といったライバルになる恐れがある新興企業を買収して競争を阻害したと判断して、両事業の売却を要求しました。
大手IT企業に対する訴訟としては、10月に司法省がアルファベット傘下グーグルを提訴したのに続いて2件目となります。
一部の民主党議員はグーグルとフェイスブックの解体を訴えています。大手IT企業に対しては、共和党・民主党両党の議員からは、ともに厳しい目が注がれているようです。
訴状によれば、フェイスブックが2012年に写真共有アプリ「インスタグラム」、2014年にチャットアプリ「ワッツアップ」を買収したのは、強豪相手を取り込むためではないかと指摘しています。
米連邦取引委員会(FTC)とニューヨーク州を中心とする州連合は、フェイスブックによる自社独占状態維持のための競争相手阻害と主張しています。
これにより、フェイスブック側に、両社の買収に関して解消する裁判所命令を求めていますが、ただどちらの買収案件も、米連邦取引委員会(FTC)の承認を得てのことです。
ニューヨーク州のジェームズ司法長官は「過去約10年間、フェイスブックはその支配力と独占力を利用して小さなライバル企業を潰し、競争をもみ消し、全てのユーザーを犠牲にしてきた」と述べています。
グーグルについで2件目
米司法省は10月、米アルファベット傘下のグーグルを反トラスト法(独占禁止法に相当)違反で提訴しまっした。両社の訴訟は、市場独占を巡る案件としては司法省が1998年にマイクロソフトを提訴して以来の規模となりますが、フェイスブックがグーグルのケースと異なるのは、当局が会社分割の裁判所命令を求めている点のようです。
グーグルに対する訴状は、グーグルはインターネットへの「比類のない玄関口」で、検索エンジン市場での独占状態を維持・強化するため競争を阻害するような慣行を用いたとしています。
グーグル側の反論は「利用者はグーグルを選んで使用しているのであり、強制されているわけでも、別の選択肢がないわけでもない」としています。
グーグルに対してテキサス州のパクストン司法長官は、デジタル広告事業市場での慣行を巡ってグーグルを提訴する準備を進めているとしています。
フェイスブック側の反論
フェイスブックの法務顧問は「反トラスト法は成功している企業を罰するためにあるわけではない」とし、ワッツアップとインスタグラムはフェイスブックが成長のために多額の投資を行った後、事業として成功したと述べています。
さらに「政府は今になってやり直しを求めている。米企業にとっては、事業売却が確定することは決してないという恐ろしい警告になる」と反論しています。
かつてマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は「競うよりも買収する方が得策」とメールで述べている経緯があり、訴訟の行方はわからないくなっています。
いずれにしても、訴訟が長期化するのは否めません。
大手IT企業への訴訟、大きくなれば叩かれるというものもないんでしょうが、その本質は一体なんなのでしょうね...