日銀発表の資金循環統計
2020年度末個人(家計部門)金融資産残高が前年比7.1%増の1946兆円となり、比較可能な2005年以降で過去最高となりました。
通常、家計の金融資産はボーナスが出る12月と比べて3月には減少する傾向がある。
今回12月対比でも増えたのはコロナ禍で消費が抑制されたため...(日銀調査当局)
コロナ禍における消費抑制によりが、家庭内の現金や預金を増やし、また、金融市場における株価高騰により、保有株式(個別株や投資信託)の評価額が増えたことによるそうです。
過去にさかのぼって数値改定を実施し、直近1年間の個人金融資産残高は10兆円~15兆円程度下方改定されました。
個人金融資産内訳から見えること
個人金融資産の内訳では、現金・預金が5.5%増に1056兆円、株式等は32.1%増の195兆円、投資信託は33.9%増の84兆円と過去最高になったとあります。
現預金1056兆円とリスク資産249兆円(株195兆円+投信84兆円)を比べてみると、家計における株・投信の保有割合は、決して大きくはありません。
現預金比率は、全体の54%を占めています。
これは、実体経済に反してマーケットが上昇した恩恵を、個人価家庭では十分に享受できていないということになります。
お金を投資で運用するよりも貯蓄に回す安全志向の強さが改めて浮き彫りになった...
このような考察もあります。
民間企業の金融資産残高
今年3月末の、民間企業の金融資産合計は、3ヶ月前より39兆円多い1247兆円となっていて、こちらも過去最高となっています。
国債発行残高
今年3月末の国債発行残高は1218兆円、この内日銀保有は44%の542兆円にもなるそうです。
すごいですね...
預金取扱機関保有比率は14.2%から14.5%に上昇しました。
コロナ対応特別オペの担保需要が旺盛だっったことによります。
海外保有額は160兆円で、残高に占める割合は13.2%になります。かなりありますね...
年収が減ったと実感
一方で、新型コロナウイルスの影響で年収が減った・減るだろうと答えた人は計37.3%で、3人に1人に上ることが19日、明治安田生命保険の調査で分かりました。
増加傾向だった世帯貯蓄額も3年ぶりに減少に転じ、家計が厳しくなっている実態が浮き彫りになったとあります。
調査は3月、全国の20~79歳の既婚男女を対象にインターネットで実施したもので、1620人が回答したもので、昨年3月に比べ年収が...
- 「今現在減少した」と答えた人は17.7%
- 「将来減少する(と感じる)」は19.6%。
「今現在減少した」と答えた人を職業別で見ると
- 自営業・自由業32.3%
- パート・アルバイト24.5%
が上位を占めました。
格差を強調する論調もありますが...
個人金融資産残高が増えたニュースが出ると、決まって個人間格差の話が取り沙汰されます。
貧富の差が問題視されますが、それは的確な議論なのでしょうか。
実体経済をよそに金融市場で株価があがる事による資産増加は、株式投資をしている人でしかその恩恵を受けることはできません。
株式投資をしている人は、何も潤沢に資産がある人ばかりではありません。
株式投資をしている人は、敢えてリスクを取って投資をしているわけで、リスクを取らない人がリスクを取った人をとやかく言うのは“いかがなものか”と思います。
株式投資で利益を得ることは、悪いことではありません。
後ろめたいことでもありません...
コロナ禍で崩壊した家計収支バランスにおいて、マーケット投資をして利益を得ている人は、結構救われています。
それを非難することではないと思います。
生まれながらに資産を与えられている人たち、贈与でもらった不動産で働かずに利益を得ている人たちを、貧富格差を盾に非難するのはどうなのでしょう。
また、企業が内部留保金を溜め込んでいることも、非難されています。
リーマンショックで瀕死の状態から這い上がって企業は、二度と倒産の憂き目に合わないように社内に資金をためておくのはよく理解できます。
それを従業員に分派しないと避難するのは、労働者側の論理かもしれませんが、軽絵上では「いざというときのための準備金」としては当然の行為です。
今のコロナ禍でもわかるように、いざということは国はなにもしてくれないのですから、最後の最後まで自助努力しかないのですから。
大事なのは、個人個人が資産形成に関してちゃんと考えることだと思います。
アンフェアはよくありません。
アンフェアによる格差は絶対に是正しなければなりません。
そこはきちんと「区別」して議論すべきだと思いますがね...