警察庁の最新統計によれば、全国の自殺者数は9月に1805人と前年同月比8.6%増となり、7月から3カ月連続で増えました。
政府の緊急事態宣言の下、外出自粛が広がった4~6月は全国で約13%減少していました。
子供の自殺者が増えています...
自殺する人が急増する中、子どもの自殺も深刻になっていて、去年やおととしを大幅に上回るペースで増えています。
厚生労働省が発表した統計では、小中学生と高校生の自殺者はことし4月から10月まで246人と、去年の同じ時期より58人、おととしの同じ時期よりも42人多くなり、深刻になっています。
各地の医療機関などには、子どもの受診や相談が増えているところがあるそうです。
実際に面談をした教諭などからは「子どもの心をくみ取るのは難しい」とし、自殺のリスクのある子どもをどう見つけていくのかが課題となっていると言っていますが、これはコロナに限ったことではなく、子供の自殺は大人がどれだけ気づいてあげられるかが大事で、学校教諭の役割は大きいのですがね。
学校の先生だけに責任を負わせるのも良くないですが、とにかく子供が関わる大人は、親や学校の先生で、今は近所の大人が関わることは少ないので、やはり、親や先生が気づいてあげないと救える命も救えなくなります。
ただ、コロナ以前から、子供の自殺者は増えてはいました。
警察庁の統計によれば、日本の自殺者数は2003年に3万4427人とピークを迎えて、2010年以降は減少を続け、昨年は2万人程度まで減っていた一方で、19歳以下のグループでは、2017年以降は増加が続いています。
普段から持っている自殺願望が、コロナによる生活の変化によって顕在化したというのはあるのでしょうが、コロナだけのせいにするのはちょっと違うような気もします。
女性の自殺者も増えています...
7~9月を通じて男性がほぼ前年並みだったのに対し、女性の自殺者の増加率は7月16%増、8月40%増、9月28%増と著しく多かったようです。
子供の自殺予防に詳しい精神科医の松本俊彦氏は、外出自粛が広がる中で女性や子供の自殺が増えていることについて
仕事といった外との交流から傷付くことが多い中高年の男性と比べて、女性と若者は身近な人間関係にストレスを感じる...
と指摘しています。
日本では年初以降の新型コロナによる死者が2000人以下にとどまっているのに対し、生活困窮や育児、いじめ、孤立など社会とのつながりの中で「追い込まれた末の死」と政府が位置付ける自殺者の数は約1万3000人に上っています。
男性を失業に追い込んだ過去の不況と異なり、コロナショックは女性の雇用を直撃しているのも、女性の自殺者が多い背景にあるのかも知れません。
国際労働機関(ILO)は、世界中で新型コロナによる雇用者数の減少は、男性よりも女性の間で大きいと報告しています。
日本では4月、女性の就業者数が前年比で約8年ぶりに減少しています。
総務省の労働力調査によると、3月時点と比べて8月の就業者数は男性22万人減、女性51万人減と2倍以上の差があり、非正規雇用の約7割を占める女性の立場の脆弱(ぜいじゃく)さが露呈した格好になっています。
労働政策研究・研修機構(JILPT)の分析によれば、7月末時点で休業していた女性の比率は男性の3.9倍で、女性は男性と比べて職場復帰も遅れています。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で自殺率が最も高い韓国でも、3月から6月にかけて女性の自殺者数が急増しました。
その背景にある3つの要因として
- 若い女性を中心に高まる失業率
- 休校により増加した家事育児の負担
- コロナ禍で広がる社会的孤立
を挙げています。
そう考えて、政府の対応や東京都との姿勢を見ると「なんだかなぁ~」と思ってしまうのですがね...