いま足元でなにが起こっているのか...

物事を客観的に捉え、何をしなければならないかを冷静に考えるヒントをピックップします。主観は排除し、過去の常識にとらわれず、「Opinion」ではなく「Fact」を伝えることをモットーとしています。転ばぬ先の杖...それがこの“Sheel Report ”です。

黒い雨訴訟...広島市と広島県が国とともに控訴

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黒い雨訴訟 広島市広島県が控訴

黒い雨とは、原爆投下直後に降った放射性物質を含む雨を言います。

核爆発で生じた放射性物質と焼けた建物のすすなどが上空に達し、雨雲ができたのです。

広島の気象台は爆心地の「東西15キロ、南北29キロ」で黒い雨が降り、このうち「東西11キロ、南北19キロ」が大雨地域と分析しています。

 国は1976年に大雨地域を援護対象区域に指定し

  • 公費で健康診断が受けられる
  • がんなどの疾病になった場合、被爆者健康手帳に切り替えられる

援護地域と認めました。

ただ、被爆者援護法上の被爆者とは認めず、特定疾病を発症すれば、被爆者と認めて被爆者健康手帳を交付していました。

被爆者健康手帳は、被爆者援護法に基づき交付され

  • 直接被爆した人
  • 原爆投下から2週間以内に爆心地近くに入った人
  • 被災者の救護や遺体処理に当たった人
  • 胎児被爆した人

の四つの区分があります。

健康保険の被保険者証があれば、自治体指定の医療機関などで無料で診察が受けられます。

 

黒い雨の援護行政を巡っては、降雨地域のうち「大雨地域」に限り援護対象としていました。

問題は、この援護対象の拡大をどう考えるかです。

弱い雨が降ったとされた「小雨地域」は援護対象外となっているのですが、実際胃「黒い雨」を浴びたことを証言し、体調の不調を訴えている人がいるという事実をどう考えるかです。

この援護対象を決めるのは国に権限があるのです。

科学的根拠か実質的訴えか...

広島への原爆投下後に降った「黒い雨」を浴びたと訴えた住民ら84人全員を被爆者と認め、被爆者健康手帳の交付を命じた広島地裁判決について、国と広島県広島市は12日、控訴しました。

一度、被爆者として手当をすべきだと決めた判決に不服を申し立てたのです。

加藤勝信厚生労働相は、報道陣に「(判決は)過去の最高裁判断と異なり、十分な科学的知見に基づいていない」と控訴した理由を説明しています。厚生労働省の担当者は「地裁判決は、黒い雨を浴びたと本人がいい、特定の疾病の二つの要素があれば被爆者と認定されかねない」と指摘していますが、厚生労

働省としては、判決が確定すれば救済対象が大きく膨らみかねないことを懸念しているようです。

ようはお金を出したくないのでしょう。

 

ずっと原告側についていた広島市広島県は、控訴する側として国と足並みをそろえました。

被告の広島市広島県は、国から手帳交付事務を受託しているものの援護行政に裁量はないとされ、国に援護対象の区域拡大を訴えてきていました。判決後も国に控訴の断念を申し入れたのです。

広島市広島県は、国の控訴要請を受け入れるのと引き換えに「大雨地域」のみを援護対象とする現在の線引きを再検証することを引き出したとしています。

ある意味、板挟み状態なのでしょうかね。

広島市松井一実市長は同日会見し

   勝訴原告の気持ちを思うと控訴は毒杯を飲む心境

と語っていて、ある市幹部は

   原告84人だけでなく(黒い雨を浴びた)みんなを救うために折り合いを付けた

としたとのことです。

市によれば、援護を「大雨地域」に限る線引きが拡大された場合、新たに推計で数千人規模が援護対象に含まれる可能性があるということです。

松井市長はまた、黒い雨を浴びたと訴える人の高齢化などを理由に

   科学的見地より「政治決断」を

と繰り返し求め、広島県湯崎英彦知事も同日、報道陣に

   大臣、総理が拡大も視野に検討と言っている
   結果として拡大しなかったというのは政治的にありえない

と述べたようです。

被爆地・長崎でも限られた地域で黒い雨が降ったとされ、雨を浴びて被爆したと訴える訴訟も起きています。

長崎地裁は2012年6月の判決で「証拠がない」と退け、福岡高裁控訴審が続いています。

今の内閣支持率解散総選挙を考えると、政権与党としても、小泉政権でのハンセン病患者との裁判で酵素をしないと決断したように、安倍総理が控訴をしないという政治判断を下すほうが良かったのではと思うのですが、そういう判断もできないくらいに、安倍総理はもう気力を失っているのでしょうかね...