いま足元でなにが起こっているのか...

物事を客観的に捉え、何をしなければならないかを冷静に考えるヒントをピックップします。主観は排除し、過去の常識にとらわれず、「Opinion」ではなく「Fact」を伝えることをモットーとしています。転ばぬ先の杖...それがこの“Sheel Report ”です。

仙台高裁で原告勝訴、賠償額は増額10億円 ~ 生業訴訟

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仙台高裁 原告勝訴

東京電力福島第一原子力発電所の事故をめぐり、福島県で暮らす住民など3600人余りが訴えた集団訴訟で、仙台高等裁判所

大規模な津波が到来する可能性を事故の前に認識できたのに、国が東京電力に対策を求める権限を行使しなかったのは違法だ

 などとして、国と東京電力に総額10億円余りの賠償を命じました。全国の集団訴訟で、国の責任を認める2審判決は初めてです。

 

 生活の基盤が損なわれ精神的な苦痛を受けた

 

  原発事故のあとも福島県内で暮らし続ける住民や避難した人などに対する裁判所の判断です。

1審の福島地方裁判所は3年前、国と東京電力の責任を認め、総額4億9000万円余りの賠償を命じていました。

平成14年に政府の地震調査研究推進本部が発表した地震の「長期評価」を踏まえた試算をしていれば、大規模な津波が到来する可能性を認識することができた。国が東京電力に対策を求める権限を行使しなかったのは違法だ...

 画期的な判決内容です。

国と東京電力は『長期評価』に基づく津波の試算を行って対策を講じた場合の、主に東京電力の経済的な負担などの影響の大きさを恐れるあまり、試算自体を避けるなどしたと認めざるを得ない...

 住民の安心よりも、会社の利益を優先させ、それを国も容認していたと言っているのですね。

国と東京電力に総額でおよそ10億1000万円の賠償を命じた背景として

国がみずからの責任で原発の設置を許可したもので、範囲を限定するのは相当ではない...

 としています。これは今後の様々な裁判にも影響があるでしょうね。

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福島原発

この判決を受けての印象的なものとして、弁護団の事務局長、馬奈木厳太郎弁護士が

裁判が長期化し、判決を待たずしておよそ100人が亡くなった。この喜びを分かち合うことができないことは残念だ。東京電力と国は責任を認めて1日も早く救済すべきで、上告しないよう求めたい...

と述べていることです。

国側がどのような態度を取るのか、菅政権の姿勢が問われそうです。

対する東京電力側によるコメントをを報じています。

当社、原子力発電所の事故により、福島県民の皆様をはじめ、広く社会の皆様に大変なご迷惑とご心配をおかけしていることについて、改めて心からお詫び申し上げます。本日、仙台高裁において、言い渡された判決について、今後、内容を精査し、対応を検討して参ります...

原発事故が起きた当時の規制機関「原子力安全・保安院」を引き継ぐ形で発足した原子力規制委員会の更田豊志委員長は

判決の詳細がまだわからず、コメントは控えるが、原子力規制委員会は福島の原発事故に対する反省や怒りにもとづいて設置された組織だ。二度と原発事故を起こさないよう原発に対する厳正な規制を進めていきたいと改めて考えている...

 と述べたと報じています。

加藤官房長官

今後の対応については、関係省庁で判決内容を精査したうえで適切に対応していくと思う。いずれにしても、原子力発電所は安全が最優先であり、独立した原子力規制委員会福島第一原発の事故を踏まえて策定された新規制基準への適合性審査を厳格に進めており、引き続きしっかり対応されると考えている...

 と述べました。

 

福島原発においては、緊急時に原子炉を冷却するための電源が確保できなかったことでメルトダウンを起こしたもので、その電力源が標高の低い位置に設置されていて、津波の被害を受けやすい状況を改善しなかった、標高の高いところに設置し直していれば、ひょっとしたら原子炉を冷却できたのではないかと言われています。

このことに関して、東電側に当事者意識がないことが国民感情を逆なでしているところがありましたが、今回の判決で、さらに原発を協力に推進してきた国側にも責任があるとした判決が画期的だったと思えます。

国が規制の権限を行使しなかったのは違法だ...

これは重い言葉だと思います。

また、今回の判決では、1審と比べて賠償の対象範囲を広たことも注目されます。

具体的には、事故の後に避難指示の対象になった福島県浪江町富岡町などの原告について「ふるさとを喪失した損害がある」などとして賠償額を大幅に上積みしたり、新たに認めたりした人がいました。

また、国の指針や1審判決で賠償の対象にならなかった
     福島県西部の会津地方や宮城県南部の原告の一部
への賠償も認めました。

その結果、賠償の総額は1審の4億9000万円余りから、2審は2倍以上となるおよそ10億1000万円に増えました。

対応措置をとった場合の影響の大きさを恐れるあまり、試算を避け、あるいは試算結果が公になることを避けようとしていたものと認めざるを得ない...

 判決は、国と東京電力に対し、かなり踏み込んだ内容となっています。

個人的見解ですが、国側もこの判決を認め、もうこれ以上、生業訴訟を続けさせることなく判決を受け止めてほしいと願います。

そして大事なのは、二度とこのような原発時期を起こさないことと、今後の電力のあり方、原発を持つことの是非を、日本国中の国民が我が事として話し合えるようになることを願います...