いま足元でなにが起こっているのか...

物事を客観的に捉え、何をしなければならないかを冷静に考えるヒントをピックップします。主観は排除し、過去の常識にとらわれず、「Opinion」ではなく「Fact」を伝えることをモットーとしています。転ばぬ先の杖...それがこの“Sheel Report ”です。

いよいよ福島第一原子力発電所での処理水海洋放出へ、漁業関係者は反対...

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福島第一原発処理水 海洋放出

 政府は東京電力福島第1原子力発電所でたまり続ける処理水の海洋放出について月内にも決定する方針です。

漁業関係者を中心に放出による風評被害への懸念はあるが、敷地内にため続ければ今後の廃炉作業に影響が出かねないためで、政府が正式に決めれば東日本大震災で深刻な事故を引き起こした福島第1原発廃炉が本格的に進む契機になるとされています。

この問題のキーワードは

 設備の建設や規制手続きに時間がかかるため、放出は早くても2022年度になる見通しとのことです。

海洋放出に関しては、たしか今の小泉進次郎環境大臣の前任者である原田義昭環境大臣が、溜まっていく処理水(汚染水との違いは後述)について「海洋放出シカ方法はないというのが私の印象」と、辞める直前に問題提議したことを受けて、小泉進次郎環境大臣が就任直後に「(環境省は汚染水処理対応の)管轄外」した上で、原田前大臣の発言が、福島の人々を、漁業関係者を傷つけたとの発言をしています。

「お詫び」とも取れる発言ですが、「管轄外」という前提で述べながらも、処理水の海洋放出をしないとは明言していませんでした。

小泉大臣独特の発言でしたね。

そんな事があっての、小泉進次郎氏が現職の環境大臣である現政権下で、処理水の海洋放出を行うことを表明しました。

 

汚染水と処理水

この言葉の違いには、神経質なほど区別されて使われています。

汚染水とは、2011年に福島第一原発で起こった原発事故の影響で発生したもので、今も原子炉内部に残っている、溶けて固まった燃料(燃料デブリ)を冷却し続ける貯めにムズを使うことから、高い濃度の放射能物質を含んだ一定量の水が生じます。

この放射能物質を含んだ汚染水は

  1. 漏らさない
  2. 近づけない
  3. 取り除く

というのが基本対応となっています。

この汚染水を、いつまでも放射能を含んだまま放置することはなく、放射性物質のリスクを下げる処理がなされます。

浄化処理には62種類の放射線物質を取り除く「多核種除去設備(Advanced Liquid Processing System:ALPS)」などの複数の除去設備が試用されます。

「ALPS(アルプス)」を使って浄化処理された水を「ALPS処理水」いわゆる処理水として扱われます。

汚染水と処理水では、100万分の1程度の放射能量の差となっています。

 

風評被害

ただこの言葉の使い方なり捉え方は、それぞれの立場によってことなってきます。

放射能をゼロにするのは難しいが人体に影響のない範囲まで対応できるということを、受け入れられるかどうかは置かれた立場に寄って異なります。

またメディアがどちらん言葉を使うかで、原発に対するメディアとしてのスタンスが伺えるようでもあります。

今回、海洋放出するのは「処理水」です。「汚染水」ではありません。

ただ日本全国民がこの違いを理解しているわけではなく、同じレベルで「福島原発の水」という理解で捉えられると、真実とはかけ離れた風評被害をまねく要因になりかねません。

かと言って、このまま地上タンクに貯蔵するのにも限界があり、もう貯蔵することができなくなってきているのです。2022年には、貯蔵タンクの敷地がいっぱいになります。

燃料デブリを水で冷やし続けている以上、汚染水や処理水は増え続けていきます。

 

漁業協同組合

全国漁業協同組合連合会(全漁連)の岸宏会長は、東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の処分方法について、「海洋放出に絶対反対と申し上げる」と強い反対姿勢を示しました。

岸会長は、福島県沿岸の漁業者は原発事故後、10年近く風評被害や漁獲制限など「放射能汚染の問題に苦しんできた」と強調し、海洋放出が行われた場合、風評被害の払拭(ふっしょく)に取り組んできた全国の漁業者の努力が無駄になり、「日本の漁業の将来に壊滅的な影響を与える」と訴えました。

福島県水産加工業連合会の小野利仁代表は、海洋放出すれば福島県産だけでなく、他の都道府県から仕入れ、県内で加工した食品も風評被害を受けると危機感を示しました。

政府としても処理水処分方法として、海洋放出だけでなく、大気中への水蒸気放出も選択肢として示しています。

海洋放出や水蒸気放出以外の方法だと、貯蔵タンクを置く場所を探すことになります。

大阪市の松井市長は、大阪湾に放出することを提案していますが、このような動きが全国に広がる様子はなく、課題解決には至っていない状況です。

 

トリチウム

前述の多核種除去設備(ALPS)で唯一除去できずに残る放射性物質が「トリチウム」です。トリチウムは主に(水分子の中の水素原子が1つトリチウムに置き換わった)トリチウム水として存在します。

この「三重水素」という水素の一種であるトリチウムは、わたしたちが飲む水道水にも含まれています。

宇宙線が大気圏上層の空気に当たることにより、年間約7京ベクレルほど生成し、雨に1リットル当たり約0.4ベクレル含まれています。

トリチウムは水素と化学的に同じ性質を持つため、体内に入っても尿とともに排出されます。

1ベクレルのトリチウムがもたらす内部被曝は、1ベクレルの放射性セシウムがもたらす内部被曝の約1/1000しかありません。

また、海水に混じればたちまち希釈されてしまいます。そのため、国の放出基準以下の放射能濃度で排水しても、海水中に存在する天然のトリチウムの濃度をほとんど高めないと考えられます。 

これらの情報を、国が全国民に徹底させることが大事だと思いますが、それ以前に、国民が原子力発電関連に関して、東京電力や国を信用していないという深刻な問題があります。

要は「信頼関係」です。

それが今失われているということを、国側も東電側も、深刻に受け止めるべきではないでしょうか...