公益財団法人日本生産性本部の調査によれば、消滅可能都市が全国の5割超、計927市区町村になると報じています。
これは、2014年に、有識者らでつくる民間研究機関「日本創成会議」(座長・増田寛也元総務相)による「2040年までに全国の計896自治体」という数字から31自治体増えたことになります。
そもそも消滅可能性都市は、この日本創生会議が定義したもので、人口流出・少子化が進み、存続できなくなるおそれがある自治体を指します。
厳密な定義は
2010年から2040年にかけて、20 ~39歳の若年女性人口が
5 割以下に減少する市区町村
となります。
日本創成会議が人口減少要因としているポイントとは2つ
- 20~39歳の女性人口減少
- 人口の社会移動
としています。
「20~39歳の女性人口減少」では、9割以上の子供がこの層から生まれることを根拠としていて、第二次ベビーブーム世代は2014年当時では40歳となっていて、それ以下の世代人数は急減していることを問題としています。
「人口の社会移動」では、地方から大都市圏への若者の流出、これを「人口再生産力の喪失」と意識していて。「東京一極集中」を問題としています。
例えば、ある自治体で
生まれてから20 ~39歳になるまでに 男女ともに3割程度の人口流出
があり
出生率1.4が続く
とすると、概ね30 ~40年後に若年女性は現在の 5 割 に減少する
としています。
減少を回避し人口を維持するためには、直ちに2.8 ~2.9 の出生率が必要だが、あまりにも非現実的な数字になるとしています。
そもそも、日本の総人口は減少しています。
2008年の1億2808万人が、日本人口のピークとなっています。
総務省統計局によれば、2021年3月1日現在の概算値では1億2548万人で、前年同月比48万人(0.38%)減となっています。
統計では「15歳未満人口」の人口減が1.22%(前年同月比)、65歳未満が0.77%減(同)、65歳以上は0.85%増(同)となっています。
2055年には、日本人口は1億人を割り込み、2065年には9000万人をも割り込むと言われています。
出生数の減少
日本の出生数は1975年に200万人を割り込み、それから約40年後の2016年には100万人を下回りました。
これは年間平均で2.5万人ずつ出生数が減少してきたことを意味しています。
2020年の出生数は過去最少の87万2683人(対前年比2万5917人減)。死亡数は138万4544人(同9373人減)で11年ぶりに減少しました。
2020年は、世界的な新型コロナウイルスまん延の年ですね。
ちなみに婚姻件数は53.8万組で、前年と比べ7.8万組(12.7%)減で、1950年(昭和25年)以来の減少率となりました。離婚件数は19.7万組で、前年比と比べ1.6万組(7.7%)少なくなってはいます。
ポストコロナ社会「ニューノーマル」で都市部から地方へ
コロナ対策として、社会的距離(ソーシャルディスタンディング)が「ニューノーマル(新しい常識)」となり、会社勤務形態もリモート、いわゆる“テレワーク”が推奨されています。
コストが高いと都心部に居住拠点を置かなくてもよいのでは...
そのような風潮が高まってきています。
企業によては本社機能を地方に移転する動きも見られ、なかなか解決の糸口が見えなかった「東京一極集中」改善が、いみじくもコロナによって進められたということになります。
ただ、消滅可能性都市の定義となる2010年から2040年の若年女性人口変化率を見ると、ほぼ中山間地域が該当していることがわかります。地方としては北海道が最も高く、次いで奈良県・和歌山県が多く該当した近畿が続いています。
「都市部から地方へ」というムーブメントが起こっているとは言え、それが消滅可能性都市を救うことに直結するとは限らないでしょう。
「ワーケーション」という、仕事とバカンスを兼ね備えた新しい働き方もありますが、地方再生は、なにか地元から湧き出る対策が必要になります。
地方再生には
よそ者・若者・馬鹿者
が鍵になると言われています。
住民サービス、とくに水道民営化が進めが、これらの地方自治体の水道料は跳ね上がり、場合によって住民サービスが切り捨てられることにならないかという危惧もあります。
無人自動運転車巡回など、テクノロジー^で解決することもあるでしょうが、地方が活性化する方法を、国の問題として考えるべきではないでしょうか。
地方創生を、担当大臣までおいて訴えているのなら、なにか具体的なアクションを起こしてほしいものです...