トランプ米大統領は、中国の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」および通信アプリの「微信(WeChat:ウィーチャット)」が関わる取引を米国居住者が行うことを禁止する大統領令に署名しました。
禁止は45日後に発効します。
トランプ大統領は、株式非上場のバイトダンス(北京字節跳動科技)が所有するティックトックの米企業への売却を求めていて、ポンペオ米国務長官は、アプリ配信サービスを手掛ける米企業に対し、中国製のアプリを排除するよう呼び掛けていました。
ティックトック米国事業を売却する先としてマイクロソフトが挙げられ、実際に交渉に入っていると報じられています。
トランプ大統領は、買収の条件として、今後3年で最大1万人の雇用を増やすことを求めています。
マイクロソフトにとっては、TikTokを買収することで、有力なSNSコンテンツを手にすることができ、事業買収としては世界4カ国の事業が焦点となっています。
アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでの事業が交渉範囲で、それを広げることはないようです。
英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は先に、マイクロソフトがインドや欧州を含む全世界事業を対象に買収を狙っていると報じていたようです。
そもそもトランプ大統領が危惧しているのは安全保障上の問題で、アメリカ国民の個人情報が、TikTokやウィーチャットアプリから盗み取られているということに対する懸念があるのです。
中国企業に情報が漏れているということは、中国の企業のあり方から、その情報は中国国家が手にしているということになります。
TikTokから情報が盗まれているということは、そのアプリそのものに、情報盗用の仕掛けがあるのでしょうか。
このデータ収集によって中国共産党が米国民の個人情報や機密情報の入手が可能になる恐れがある
トランプ大統領はこう指摘しています。
ティックトックによる情報収集は
中国が連邦政府の職員や契約者を認識し、その居場所を特定したり脅迫したりすることや、産業スパイ活動を行うことを可能にし得る
としています。
いずれにしてもその噂だけでも、トランプ大統領が、アメリカ国内でのTikTok使用を禁止すると表明するのも、無理はありません。
「微信(ウィーチャット)」は、支払いや電子商取引など多様な用途のある人気アプリで、世界で10億人以上が利用していて、微信との取引禁止は中国と米企業の取引に大きな影響を与える可能性があります。
ちなみに、TikTokは世界でこれまで20億回ダウンロードされています。
米国の法律と規制に従っているにもかかわらず、米国は国家安全保障を口実に使い、国家権力を行使して米国以外の企業を抑圧している
まさに覇権主義的な行為だ
と中国側は反論してます。
6月29日にインド政府が、TikTokを含め59の中国製アプリの使用を禁止しました。背景にはカシミール地方の国境係争地帯で戦死者まで出した印中間の軍事衝突があります。
オーストラリアの現地メディアThe Sydney Morning Heraldは、内務大臣がTikTokに関する取材に対し「SNSは情報操作の危険性がある」と発言したと報じています。
さて日本は、アメリカの行動に追随していくのでしょうか...